アパート一棟買いの失敗事例7選!不動産投資を始める前の注意点

「アパート一棟買いに挑戦したいけど、失敗したらどうしよう…」そんな不安を感じていませんか?不動産投資は数千万円から数億円という大きな金額を動かすため、慎重になるのは当然です。
しかも、アパート一棟買いは区分マンション投資よりも裁量があり、判断を誤ると資産形成どころか大きな損失を抱える可能性があります。
初心者が陥りやすい典型的な失敗事例を具体的に紹介しながら、事前に確認すべき重要なポイントを丁寧に解説します。
失敗事例1:現地確認を怠り購入したことで見落として失敗
失敗事例2:相場を無視して高値で購入し、売却もできず出口なしで失敗
失敗事例3:サブリース契約で購入しても保証されずに失敗
失敗事例4:家賃の安いアパートを購入して修繕費が支払えず失敗
失敗事例5:土地と建物の価格を確認せず購入し節税効果がなく失敗
失敗事例6:節税目的ではなく築古アパートを購入して失敗
失敗事例7:イベントやセミナー、交流会をきっかけに購入しカモにされて失敗
単に融資条件や利回りの数字だけで判断するのではなく、現地確認や会社の信頼性、修繕計画、税務リスクなど、見落としがちな要素をしっかり押さえることが成功への第一歩です。これからアパート投資を検討している方に、失敗を防ぐための実践的なヒントをお届けします。
失敗事例1:現地確認を怠り購入したことで見落として失敗
とあるサラリーマンは、最寄駅から徒歩8分のアパートを購入しました。しかし、現地を見ずに決めたのが失敗でした。実際には駅からアパートまでの道のりに高低差があり、夜には人通りも少なく暗い道となっていました。
結果、募集してもなかなか決まらず、入居までに半年かかりました。駅近という立地の魅力どころか、差別化できない環境だったのです。最初に現地を確認していれば、このリスクに気づけたはずです。
図面だけでは見えない現地の実態を見逃すな
現地を確認していない、まさかそんなこともしてないの?と思われるかもしれませんが、現地を一度も見ずに購入するケースは、失敗事例では珍しくありません。
新築であれば、建物のパンフレットや見学会などもあったりしますが、中古の場合には、マイソクと業界では呼ばれている販売図面が1枚あるだけです。A4の紙1枚では、情報量が少な過ぎるんです。アパートだけに限らず不動産の購入では、必ず現地を確認しましょう。
「いい物件ほど、すぐ売れてしまう!そんなこと言っていられないよ」と言われるかもしれませんが、それは慣れた経験者がリスクを理解した上での判断です。物件はたくさんあります。
特に最初の購入では、目先の利益ではなく、これから始まるアパート経営の糧となるように、どのような物件が良いのか?どんなアパートがあるのか?など、現地に足を運び、購入するアパートを選ぶ際の物差しを自分の中で作っていきましょう。
入居者目線で「住みたいか?」を判断基準にする
「アパートを見ても素人だからわからない」と思うかもしれません。でもそんなこと無いんです。入居者も実は素人なんです。あなたが見て素敵だと思わなければ、入居者も素敵だとは思いません。まずは、入居者目線で住みたいと思うアパートか?チェックしてみましょう。
チェックポイント
- 駅からの距離は?
- アパートまでの道は歩きやすいか?
- 周辺環境は住みやすいか?
上記は、あくまで一例です。自分が借りると思えば、見るべき視点が見えてくると思います。また、自分が住むと入居者の質や管理の質も見えてきます。
- 郵便ポストにチラシが溢れていないか?
- 共用部の廊下にゴミが散乱していないか?
- 植栽はきちんと手入れをされているか?
住みたいかどうかと同様に重要なポイントが、この入居者の質や管理の質です。こちらを見落とすとせっかく良い物件を購入しても、手間がかかり大変なことになります。これは、入居者も同様で質が悪いと住みにくいはずです。なので、入居者としてみることが、まず最初のチェックポイントだと覚えておきましょう。
地元の不動産屋さんから得られるリアルな情報を活用
現地確認において、物件の確認と合わせて重要なことが、地元の不動産屋さんと仲良くなることです。
Best Stageのオーナー様の中には購入前に、必ず最寄駅の不動屋さんへ話を聞きに行くとおっしゃられている人もいます。それぐらい物件を見に行くのと同様に重要なのが、その地域の不動屋さんです。
まず、最寄駅に不動屋さんがあるか確認してみましょう。賃貸需要のない駅には、そもそも不動屋さんがなかったりします。購入しようと思うアパートを入居者に紹介してくれる不動産屋さんがどこにいるのか知っておくことは大切です。
- その地域の賃貸需要はあるのか?
- どんなアパートが求められているのか?
- 家賃相場はどれぐらいか?
など、その地域のことを聞いてみましょう。単なるデータではく、現場での声を聞くことで今が見えてきます。また、購入しようとしている物件を知っていることもあります。過去に客付(入居者を紹介)をした、こんなトラブルがあったなど、地域の人でないと知らない思いもよらない話が聞けることもあるかもしれません。
失敗事例2:相場を無視して高値で購入し、売却もできず出口なしで失敗
とあるサラリーマンは、不動産会社から「非公開物件」という言葉に惹かれ、築30年の木造アパートを3,000万円で購入しました。しかし、その物件は不動産会社自身が売主でした。当初は「毎月数万円のプラスになる」という説明を受けていましたが、実際には毎月赤字で手出しが発生してしまいました。
そこで売却を相談したところ、提示された買取価格はわずか2,000万円。他社で査定しても変わらず、高値で購入していたことが判明、売却しても大きな損失が避けられず、売らなくても毎月赤字と出口を完全に失ったのです。最初に相場を確認していれば、この失敗は防げたかもしれません。
相場を確認しよう
「非公開物件=掘り出し物」とは限りません。紹介された物件が良いか悪いかは、自分で判断する必要があります。エリア、土地面積、築年数、構造などの条件でフィルタをかけ、類似物件がないか不動産ポータルサイトで調べてみましょう。
区分マンションの場合、同じマンション内に多数の部屋があるため、市場価格は比較的わかりやすいです。例えば、1001号室が5,000万円なら、1002号室もほぼ同じ価格になる傾向があります。
一方、一棟アパートは近隣に同様の物件が販売されているとは限らず、土地や建物、間取りもバラバラです。あくまで目安になってしまいますが、物件数も少ないため、複数のポータルサイトで確認することをおすすめします。
参考サイト
- 楽待:https://www.rakumachi.jp/
- 健美家:https://www.kenbiya.com/
- 不動産★連合隊:https://www.rals.co.jp/invest/
- at home:https://www.athome.co.jp/buy_other/
こちらのサイトは、Best Stageも販売物件を掲載してる有名な不動産ポータルサイトになります。ぜひ活用して、おおよその相場感を掴んでみましょう。
次に、不動産価格を決める際によく使われる「物差し」として、「積算評価」と「収益還元法」についてご紹介します。
積算評価とは
積算評価は、土地と建物の価値を個別に算出し、合計して物件の評価額を求める方法です。基本的な流れは次のとおりです。
- 土地の評価額を路線価を基に算出
- 建物の評価額を減価償却を考慮して算出
- 土地と建物の評価額を合計した積算評価額
1. 土地の評価額を路線価を基に算出
国税庁の「路線価」サイト(https://www.rosenka.nta.go.jp/)で、対象土地が接する前面道路の路線価を確認します。路線価は1㎡あたりの価額を千円単位で表示します。例えば「60D」の場合、1㎡あたり60,000円です。アルファベットは借地権割合を示しますが、今回は関係ないので省略します。
路線価 × 土地面積 × 各種補正率 = 土地評価額
60,000円 × 150㎡× (省略) = 900万円
※ 実際には奥行・間口・角地などの補正率がありますが、ここでは目安のため省略します。
2. 建物の評価額を減価償却を考慮して算出
建物は再調達価格を基準に、法定耐用年数と経過年数を考慮して減価償却します。目安として、木造アパートの坪単価が60〜100万円ぐらいなので、仮に坪80万円とした場合、1平米あたり建築単価が約24.2万円となります。
延床面積×建築単価 = 再調達価格
150㎡ × 24.2万円 = 3,630万円
法定耐用年数 − 築年数 = 残存耐用年数
22年 − 10年 = 12年
再調達価格 × 残存耐用年数 ÷ 法定耐用年数 = 建物評価額
3,630万円 × 12 ÷ 22 = 1,980万円
しかし、今回のケースでは、築30年と法定耐用年数が過ぎたケースとなります。その場合には、ゼロとなりますので、土地値ということになります。
3. 土地と建物の評価額を合計した積算評価額
土地評価額(900万円)+建物評価額(0万円) = 900万円
収益還元法
収益還元法は、そのアパートが生み出す収益を元に価格を評価します。年間の家賃収入が200万円で利回りが8%の場合、2,500万円となります。
200万円 ÷ 8% = 2,500万円
「積算評価」と「収益還元法」
積算評価(900万円):担保価値や安全性を示す指標
収益還元法(2,500万円):投資価値を示す指標
一般的に、市場価格は積算評価より高くなる傾向があります。金融機関の融資判断にも使われるため、目安として把握しておくことをおすすめします。価格は需要と供給のバランスで変動するため、どちらが高い・安いと一概には言えませんが、これらの評価を理解しておくことで、誤った判断や失敗を防ぐことができます。
失敗事例3:サブリース契約で購入しても保証されずに失敗
とあるサラリーマンは、地方から上京してきた女性を応援するというシェアハウスのストーリーに共感し、物件の購入を決めました。「30年以上の家賃保証」をうたうサブリース契約だったため、毎月安定した収入が得られると安心していました。
しかし突然、運営会社が倒産。家賃は一切入らなくなり、慌てて購入したシェアハウスを確認すると、そこは空室だらけ。想定していた収益は消え、出口の見えない状況に陥ってしまったのです。
かぼちゃの馬車事件
これがサブリース契約に関する代表的な事件として知られている「かぼちゃの馬車事件」です。これはアパートではなく女性専用シェアハウスを対象とした事例ですが、アパート経営にも起こり得る問題を示しています。
原因は、建築利益でサブリースの支払いを賄う不健全なビジネスモデル。会社が倒産したことで空室が露呈しました。「家賃保証だから安心」という考えは危険です。収益性のある物件を選ぶことが重要です。
サブリース契約は、オーナーが所有する物件をサブリース会社に一括で貸し、その会社が入居者に再度貸し出す仕組みです。表面上は「空室リスクを減らせる」「家賃保証で安心」といったメリットが強調されますが、実際にはオーナーにとって不利な構造が多く潜んでいます。
原因は借地借家法の保護
サブリース契約の最大の問題は、法律構造にあります。日本の借地借家法は「借主を守る」ことを優先しており、サブリース会社はオーナーにとっての借主となるため、強く保護されます。
この仕組みにより、オーナーは契約条件の変更や解約で不利な立場に置かれます。その代表的なリスクを2つご紹介します。
サブリース契約に潜むリスク
- 契約解除がしにくい
- 家賃を下げられる
1. 契約解除がしにくい
サブリース契約では、オーナーが「もうやめたい」と思っても簡単には解約できません。
借地借家法によってサブリース会社が借主として保護されているため、オーナーからの契約解除は非常に難しく、オーナーが契約を解除したくてもサブリース会社が拒否した場合、裁判に発展するケースもあります。
一方で、サブリース会社は採算が悪化した場合、比較的容易に契約を解除できます。この不均衡は、オーナーにとって大きなリスクです。契約時には「30年保証」などの言葉で安心感を与えられますが、実際にはサブリース会社が儲かる間だけ契約を続け、リスクが高まると手を引ける構造になっています。
2. 家賃を下げられる
サブリース会社は「市場家賃が下がった」「空室が増えた」などの理由で、オーナーに家賃の減額を要求できます。ここで問題なのは、単なるお願いではなく、契約解除をちらつかせながら減額を迫る点です。
オーナーが要求を受け入れなければ、業者は契約を解除することができます。つまり、オーナーは「減額を受け入れるか」「契約解除を受け入れるか」という二択を迫られ、どちらを選んでも不利な状況に陥ります。契約時に提示された「保証家賃」は絶対ではなく、業者の都合で簡単に崩れるという現実を理解しておく必要があります。
かぼちゃの馬車事件の詳細
女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開していたスマートデイズは「30年以上の家賃保証」をうたったサブリース契約を武器に、急速に事業を拡大しました。
しかし、このビジネスモデルには致命的な欠陥がありました。スマートデイズは建築会社から不当なキックバックを受け取り、建築すればするほど利益が増える構造を作っていたのです。結果として、需要が乏しいエリアでも物件を建て続け、空室率の高いシェアハウスが増加しました。
本来なら、こうした物件を投資家が購入することはありません。「30年以上の家賃保証」というサブリース契約で家賃を確約することで、空室率の高いシェアハウスと知らず、多くの投資家が購入していたのです。
シェアハウスからの家賃では、サブリースの支払いがまかなえず、スマートデイズは新規建築の利益で既存オーナーへの家賃保証をしていたのです。シェアハウスを建築しないと家賃保証ができず、さらに空室率の高いシェアハウスができ、「自転車操業」が加速しました。
加えて、融資審査では不正書類が用いられ、過剰融資が横行しました。ところが2018年、金融庁の指導により融資が停止すると、新規物件の販売が不可能となり、スマートデイズのキャッシュフローは急速に悪化。もともと空室率の高さと過剰な保証で収益構造は破綻していたため、融資停止は「最後の引き金」となり、同年に家賃支払いが停止、スマートデイズは経営破綻しました。
その結果、サブリースによる家賃収入を失ったオーナーは、実際の家賃収入ではローンを返済できず、約700人以上が自己破産や資産売却に追い込まれ、被害総額は1000億円以上に達しました。この事件は「家賃保証は絶対ではない」という現実と、事業モデルの不透明性がもたらすリスクを示す象徴的な事例です。
失敗事例4:家賃の安いアパートを購入して修繕費が支払えず失敗
あるサラリーマンは、地方で築年数の古いアパートを「安く買えるからお得だ」と考え、購入を決めました。しかし、問題はその直後に発生します。給湯器やクーラーの故障が相次ぎ、修理や交換に数十万円もの出費が必要になったのです。ところが、このアパートの家賃は平均わずか3万円。家賃収入では修繕費をまかなえず、結局は自己資金を投入するしかありませんでした。
問題は家賃収入の低さです。この事例を参考にシミュレーションしてみましょう。
購入額2,000万円を金利3%、返済期間20年で借りた場合、年間返済額は約110万円になります。平均家賃が2万円として、6世帯のアパートだとすると、年間収入は192万円となります。
購入額 :2,000万円
金利 :3%
返済期間:20年
返済額 :110万円/年
家賃 :平均3万円/月
収入 :3万円 × 6戸 × 12ヶ月 = 216万円
利回り :216万円 ÷ 2,000万円 = 10.8%
一般的に、クーラーと給湯器の寿命が10年とされています。全室が同時に故障することは稀ですが今回は、全室で故障した場合のシミュレーションをしてみたいと思います。
修繕費
給湯器 :15万円 × 6戸 = 90万円
クーラー:10万円 × 6戸 = 60万円
合計:150万円
実質収支
年間収入 216万円
修繕費 -150万円
コスト - 30万円(固定資産税・管理費など)
ローン -110万円
赤字 - 74万円
同時でなくても、10年に1回は、交換する必要がある費用になってきます。これらの設備以外にも、屋根の防水や外壁塗装などもあり、家賃が低い物件で満室でも利益が薄いと、突発的な修繕やローン返済で簡単に赤字転落します。古い物件では修繕が一度で終わらず、翌年以降も追加費用が発生する可能性が高く、資金計画に大きなリスクを抱えることになります。
修繕費をまかなえない家賃水準はリスク
築古物件は必ず修繕が発生します。これは避けられない現実です。したがって、購入前には「修繕費を考慮したうえで価格が妥当か」を慎重に判断する必要があります。特に重要なのが家賃水準です。最終的には、家賃収入から修繕費を捻出することになるため、家賃が低い物件はリスクが高いのです。
今回のケースのように、地方には家賃が2〜3万円程度の物件が数多く存在します。一見すると手頃に見えますが、注意すべきは「その家賃で修繕費をまかなえるのか」という点です。今回のように、家賃が2〜3万円では年間20〜40万円です。固定資産税・管理費などもかかってきますので、実際には修繕費に充てられるお金はこれよりも少なくなります。
数年溜めた利益が一回の修繕費で消えてしまう事態もあり得るのです。
さらに覚えておきたいのは、修繕費は東京でも地方でも大きく変わらないという事実です。つまり、地方だから安くなる事はありません。築古物件を購入する際は、家賃水準と修繕リスクを冷静に見極めることが、投資を成功させるための絶対条件なのです。
修繕費を見越した家賃の物件を選ぶ
修繕費を考えると坪1万円の家賃は欲しいところです。25㎡で約7.5坪なので、7万円前後の家賃が取れると良いかと思います。Best Stageの新築木造アパートでは、25㎡以上の部屋でプランニングしていますので、立地にもよりますが、7万円前後の家賃が水準です。
これぐらいの家賃が取れれば、新築のうちは修繕が発生することも少ないので、修繕費を蓄えることも可能です。修繕費が発生するまでに、どれぐらいの期間があるのか?も含めて、新築にするのか?中古にするのか?検討してみても良いかもしれません。
修繕は計画的に、長期的な維持管理が不可欠
修繕は、問題が発生してから対応するのではなく、大規模修繕として計画的に実施することが大切です。区分マンションと異なり、一棟ものはオーナー自身で修繕計画を考える自由度があります。しかし、だからといって修繕を怠ると深刻なトラブルに発展する可能性があります。その典型例が雨漏りです。雨漏りは原因の特定が難しく、部分補修では対応できず、建物全体の修繕が必要になる場合があります。また、その間に入居者の仮住まいを手配するなど、追加費用が発生することもあります。
物件購入時には利回りに注目しがちですが、築古アパートを検討する際は、修繕計画を立て、必要な費用を確保したうえで、本当に収益が見込めるかを慎重に判断することが不可欠です。
失敗事例5:土地と建物の価格を確認せず購入し節税効果がなく失敗
あるサラリーマンは、節税効果を狙ってアパート購入を決断しました。想定していた売買価格の内訳は「土地1,000万円、建物2,000万円」。建物価格が高ければ減価償却できる金額が増え、節税効果が大きくなると考えていたのです。しかし、契約書を確認した段階で驚きました。内訳は「土地2,000万円、建物1,000万円」になっていたのです。総額は同じ3,000万円でも、建物価格が半分になったことで、減価償却できる金額は大幅に減少。節税目的で購入したはずが、結果的にその効果はほとんど得られませんでした。
土地は減価償却できないという基本ルール
不動産投資において重要なポイントは、土地は経年劣化しないため減価償却の対象外ということです。減価償却できるのは建物部分のみ。したがって、土地の割合が大きくなるほど節税効果は小さくなります。売買価格が同じでも、土地と建物の割合次第で節税効果は大きく変わるのです。
今回のケースでは、想定と実際の差が節税額に大きな影響を与えました。具体的には以下の通りです。
土地1,000万円、建物2,000万円の場合:建物2,000万円 ÷ 4年 = 毎年500万円
土地2,000万円、建物1,000万円の場合:建物1,000万円 ÷ 4年 = 毎年250万円
この差は年間で250万円、4年間で1,000万円もの違いになります。節税目的で購入したにもかかわらず、効果が半減するという結果は、事前確認不足の典型例です。
売主との認識ズレが節税失敗の原因に
この失敗の背景には、売主や仲介業者とのコミュニケーション不足があります。節税には土地と建物の割合が重要であるにもかかわらず、そこまで細かく確認せず「大丈夫だろう」という思い込みで進めてしまったことが原因です。契約書を確認する段階で初めて気づいた時には、すでに手遅れでした。
不動産投資には細かい注意点が数多くあります。土地と建物の割合、減価償却の計算、税務上の取り扱いなど、知識が不足していると簡単に損をしてしまいます。とはいえ、こうしたポイントは経験を積まないと気づけないことも多いのが現実です。だからこそ、購入前には必ず専門家に相談し、売主や仲介業者と十分なコミュニケーションを取ることが不可欠です。
節税目的で不動産を購入するなら、数字の裏側に潜むリスクを理解し、慎重に確認することが成功への第一歩です。
失敗事例6:節税目的ではなく築古アパートを購入して失敗
年収500万円の会社員が、築30年の木造アパートを3,000万円で購入しました。銀行融資も問題なく通り、「これならアパート投資ができる」と考えていたのです。しかし、現実は甘くありませんでした。収入は期待ほど得られず、最終的に売却することに。ところが、売却時に大きな落とし穴が待っていました。購入価格とほぼ同額で売却したにもかかわらず、譲渡所得税が発生したのです。
なぜ譲渡所得税が発生するのか?
減価償却は必ず発生します。譲渡所得税は「売却価格-購入価格」だけで計算されるわけでないんです。減価償却によって建物の取得費がゼロになるため、売却時にはお金が増えていないのに、税法上では大きな利益が発生したことになってしまいます。
このケースを詳しくシミュレーションしてみましょう。
建物には法定耐用年数があります。税法で定められた「資産が使用に耐えられるとされる年数」のことで、木造住宅の法定耐用年数は22年です。
木造アパートの場合、築年数 - 22年が残存耐用年数となります。ただ、築年数が22年を超える場合、法定耐用年数 × 0.2で計算されます。築30年の木造アパートは、4年となります。
22年 × 0.2 = 4.4年 → 小数点切り捨てで4年
この短期間で減価償却できるため、築古物件は節税目的で購入されることが多いのです。しかし、節税目的でない場合、これは大きなリスクになります。
年収500万円では節税効果が限定的
耐用年数4年で計算すると、3,000万円 ÷ 4年 = 毎年750万円を減価償却として計上します。しかし、年収500万円の場合、課税所得は約350万円。750万円の減価償却をすべて使うことはできません。さらに、日本の税制は累進課税で年収500万円の場合、税率は約20%と低く、節税効果は最大でも70万円程度にとどまります。
課税所得350万円 × 税率20% = 節税効果70万円
減価償却後の売却で巨額の税負担
築30年の木造アパート、3,000万円の内訳が、土地1,000万円、建物2,000万円の場合、減価償却後の5年目では、建物の取得費はゼロとなり、土地1,000万円、建物0円となります。
売却価格が3,000万円の場合、2,000万円の利益となってしまいます。
売却価格3,000万円 - 取得費1,000万円(土地1,000万円、建物0円) = 利益2,000万円
諸経費200万円を差し引いたとして課税譲渡所得は1,800万円となります。長期譲渡所得として約20%の税率が適用されたとしても、譲渡所得税は約360万円。ほぼ同額で売却したにもかかわらず、巨額の税金を支払うことになるのです。
利益2,000万円 - 諸費用200万円 = 課税譲渡所得1,800万円
課税譲渡所得1,800万円 × 税率20% = 税金360万円
築古アパートは価格帯が安く、手を出しやすい不動産ではありますが、減価償却が4年と使い方が難しい不動産でもあります。なかなか購入時に、売却時のことは考えられませんが、築古アパートを検討する際には、確認しておきたいポイントです。
失敗事例7:イベントやセミナー、交流会をきっかけに購入しカモにされて失敗
とあるサラリーマンは将来の資産形成のために、投資関係の交流会に参加しました。そこで知り合った人からオススメの不動産会社を紹介され、中古のアパートを購入しました。決め手となったのは「手出しゼロで全額融資が可能」「安定収入」という甘い言葉でした。半年後、入居者の退去が続き、キャッシュフローはすぐにマイナスに転落。不動産会社に募集を頼んでも、全く埋まらなかったのです。
何を買うかと同じぐらい誰から買うかも重要
どんな物件を買うかに注目しがちですが、誰から購入するかについても気を付けるべきポイントです。
こういった話は、実はよくあるんです。残念ながら不動産投資の話には、詐欺まがいの話もあります。注意したいのが、こういったイベントやセミナー、交流会をきっかけに購入したケースです。有名なイベントに出ているからと安心せず、どんな会社なのか調べてみましょう。1つの見分け方をご紹介します。それが、宅地建物取引業の免許番号です。ここでは、Best Stageの免許番号で確認していきます。
注意すべき点は2箇所です。1つ目が「国土交通大臣」の部分で、2つ目が「(2)」の部分です。「国土交通大臣」となっているのは営業拠点が2以上の都道府県にまたがっている場合になります。営業拠点が1つの場合には、「埼玉県知事」のような都道府県知事免許となります。これはどのエリアで営業しているのか?どれぐらいの規模で仕事しているかなどを把握することができます。
2つ目は「(2)」になります。注意したいのは、これが「(1)」の会社です。これは免許の更新回数をあらわします。宅地建物取引業免許は5年更新のため、「(1)」の会社は、宅地建物取引業を始めて5年以内ということになります。詐欺まがいの販売行為をしている会社は、悪い噂が広まったら会社をたたみ、違う名前で同じことを繰り返していたりします。なので、「(1)」の若い会社は注意が必要です。
こういった会社から購入する場合には、会社の財務状況や実績、代表の人がどんな人なのか?などをさらに調べることをオススメします。
「頭金ゼロ」などの甘い条件には冷静な判断を
基本的に、アパート一棟買いは、ハードルが高い投資になります。新築アパートや築浅の中古アパートでは価格帯が高く、築古の中古アパートでは価格帯が安くても融資が厳しかったりします。年収が高いなどの「信用力」や、頭金に出せる現金があるなどの「資金力」を必要とします。
こういった詐欺まがいの話には、「頭金ゼロ」「フルローン」「年収500万円から」など魅力的な宣伝文句が並びます。もし、ハードルが高いアパートが簡単に買えそうなら、そこで一歩、立ち止まってください。ご自身の「信用力」と「資金力」を確認し、本当にそんな上手い話があるのか?確認してみましょう。
Best Stageが販売している新築木造3階建てアパートは現在(2025年現在)、1億5,000万円〜3億円ぐらいのレンジで販売しています。その場合、頭金が2〜3割で3,000万円〜9,000万円の現金が必要で、年収は10倍だとしても1,500万円〜3,000万円が必要になってきます。
価格帯:1億5,000万円〜3億円ぐらい
頭金 :2〜3割(3,000万円〜9,000万円)
年収 : 1,500万円〜3,000万円
あくまで目安なので、お客様の属性によっても変わってきますし、1億5,000万円以上になってくると支店決済ではなく本部での決済になってきますので、一概にこれというわけではありませんが、こんな世界観です。
魅力的な宣伝文句が並ぶような物件が本当にあなたに紹介されるのか?考えてみてください。そういう物件は、何十棟、何百棟と探してやっと出会える物件だと思います。魅力的な宣伝文句に惑わされず、しっかりと検討しましょう。
失敗の本質:アパート一棟買いを「簡単にできる投資」と誤解することが最大のリスク
ここまで複数の事例を紹介しましたが、どれも「注意すべきポイント」を示しています。しかし、本当の失敗は個別の要因ではなく、もっと根本的なところにあります。それは、アパート一棟買いという本来ハードルの高い投資を「簡単に買える」と思い込んでしまったことです。つまり、リスクを正しく認識せず、準備不足のまま過剰なリスクを背負ってしまったことが失敗の本質です。
なぜこの誤解が生まれるのでしょうか?背景には、かつての不動産市場の状況があります。以前はフルローンやオーバーローンが比較的容易で、自己資金が少なくても購入できる時代がありました。しかし現在は、状況が大きく変わっています。
「誰でも買える時代」は終わり、融資は厳しくなっている
都市部を中心に地価が上昇し、さらに建材価格や人件費の高騰で建築コストが跳ね上がりました。その結果、新築だけでなく中古アパートの価格も過去と比べて大幅に上昇しています。加えて、「かぼちゃの馬車事件」などの不正融資問題をきっかけに、金融庁の監督が強化され、融資条件は厳格化。自己資金の比率や年収・資産背景の確認が厳しくなり、事業計画や返済能力の精査も必須となりました。「誰でも簡単に買える」時代は完全に終わったのです。
都心と地方でリスク構造が大きく異なる現実を理解する
さらに、日本の不動産市場は人口減少と都市集中の影響で、価値が「上がる土地」と「下がる土地」に分かれる時代に入りました。東京都心や再開発エリアでは資産価値が維持されやすく、長期的に安定した投資が可能です。一方で、地方や郊外では人口流出が進み、空室リスクや価格下落の可能性が高まっています。この二極化は、単なる価格差ではなく、投資のリスク構造そのものを変えています。都心部は高額ですがローリスク・ミドルリターン、地方は安価でもハイリスク・ハイリターン。この現実を理解せず「安いからお得」と考えるのは危険です。
修繕リスクのある築古より新築・築浅が安全
同様に、築古物件は修繕リスクが高く、家賃水準も低いため、キャッシュフローが悪化しやすい傾向があります。修繕費は地方でも東京でも大きく変わらないため、家賃が低い物件では修繕費を賄えず、赤字経営に陥る可能性が高まります。資産価値が落ちにくい新築や築浅、東京周辺の都心エリアを狙うことが、リスクを下げるためには重要です。
「信用力」と「資金力」を高め、長期的な戦略を持つことで失敗しないスタートを
こうした現実を踏まえると、失敗しないためには「簡単に買える」幻想を捨て、スタートラインに立つための準備を怠らないことが不可欠です。まずは年収を上げて「信用力」を高め、現金を蓄え「資金力」を持ち、金融機関から信頼される投資家を目指しましょう。高いハードルですが、ぜひそのハードルを超えて、1棟目の購入を実現していきましょう。

